当社の60年の歩み
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01 スーパーレジン工業
の出発スーパーレジン工業株式会社の創業者である(故)渡辺源雄は、太平洋戦争中は陸軍造兵廠の少年工として、また終戦間際には陸軍兵士として従軍、終戦後、幾多の経験を経た後、「会社を作って、FRPの仕事をやってみよう」と、生涯のテーマとなったFRPと出会ったのである。
1957年、東京都渋谷区の借家を一部改造しFRPの工場を開設した。創業当初はフックボルト、FRPカバー、小型レーダードームの修理、防蝕部品を数人の従業員とともに渡辺自らが作った。年表を見る
- 1954
- FRP工業についての資料収集調査を開始
- 1956
- FRP工業についての具体的な研究を開始
- 1957
- 東京都渋谷区にスーパーレジン工業株式会社を設立 資本金50万円
製品:国鉄用トンネル用フックボルト、FRPハンガー、小型レドーム修理
- 1958
- 年間売上480万円
製品:軍用機救命イカダ用手動空気ポンプ及びオール
- 1961
- 玉川工場稼働、100tプレス設置
製品:八木アンテナ部品、ループアンテナ、絶縁カバー、アンテナカバー
- 1962
- 資本金を100万円に増資
製品:魚群探知機指示パイプ、パラボラアンテナ、マネキン人形
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02 FRPとレーダードーム
FRPの市場は急速に広がり、産業分野から家庭生活のあらゆる分野で新しい材料として使われるようになった。スーパーレジン工業は、FRPによる単品製作のメーカーとして独自の地位を築きつつ、同時に量産の分野でも受注は増えていった。
建材・建築設備、船艇・船舶、車両・輸送機、電気機器、化学工業、航空機、ミサイル、レジャ…これらのFRP製品の中でも、現在の当社が主力製品とするのは航空宇宙・防衛・産業機器などの極めて高度な技術を要する製品群であり、特定の客先からの特命発注によるものが多い。その中で、レーダードームは当社の製品ラインのメインであり、市場でのシェアも圧倒的に大きい。年表を見る
- 1965
- 本社を坂浜工場に移転、資本金を200万円に増資
製品:沖縄抜けレーダードーム、オイルホース用ブイ、セールボード、ヨット、アイスボックス、冷却塔カバー
- 1967
- 資本金を400万円に増資
製品:FRPバスタブ、家庭用FRPプール、φ16mレドーム、FRP貯水槽・浄化槽
- 1968
- スーパーレジン盛岡工場生産開始
製品:大阪万博「太陽の塔」太陽の顔(FRP製)
山梨県甲西町に山梨スーパーレジン(株)を設立
製品:大阪万博ミドリ館、大阪万博三菱館
- 1971
- 盛岡工場が法人格を取得、盛岡スーパーレジン(株)となる。資本金を800万円に増資
製品:FRP漁船「南海丸」、各種プレジャーボート、漁船、φ4テレスコドーム、蓄熱槽
- 1974
- 宮崎県都城市に宮崎スーパーレジン(株)を設立
製品:岡本太郎パリ向けレリーフ、農薬散布期ボディ
- 1978
- ブレード修理のため社員がイラクに出張
製品:モーターボート
- 1982
- ACM(Advanced Composite Materials)研究室を設置
製品:航空機部品、φ17m多面体レドーム
- 1983
- オートクレーブ設置
製品:大型レドーム、φ7mレドーム、φ9mレドーム、φ4mレドーム、φ2.6mレドーム
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03 航空機への挑戦
1982年、社員をアメリカに派遣、複合材料の最新資料を収集した。生産ラインにACM(Advanced Composite Materials)を導入するため、5年かけて社内の設備や施設の整備を進め、1986年、坂浜工場に待望のACM工場が完成。
1988年、多目的遠隔操縦航空機(小型無人飛行機)を開発した。これは偵察用カメラを搭載して空を飛ぶ、空撮画像を電波で送ってくるRPV(Remotely Piloted Vehicle)というシステムの無人飛行機であった。航空宇宙分野に向けた研究開発の結晶として、優れた性能は防衛や航空関係から高く評価された。
航空機用保冷コンテナ、人工衛星ループアンテナベース、レーダードーム、気象衛星アディオス、通信放送衛星コメッツ、医療機器部品…ACM分野の受注は次第に増えていた。年表を見る
- 1986
- 坂浜工場にACM工場を建設
製品:CFRP天板、パジェロ用トップカバー、無人航空機
- 1987
- オートクレーブ2号機設置
製品:人工衛星用NECearthステーションレドーム、CTスキャンカバー
- 1989
- 資本金を1,600万円に増資
製品:MRIカバー、つくば博映像スクリーン、スキーリフト
- 1990
- 千葉県丸山町に千葉スーパーレジン(株)を設立
製品:航空機用保冷アンテナ、衛星用ループアンテナベース
- 1991
- スーパーレジン工業(株)の資本金を3,200万円に増資。盛岡スーパーレジン(株)の資本金を800万円に増資
製品:レドーム、人工衛星用アンテナ、気象衛星アディオス、通信放送衛星コメッツ、CFRP定盤
- 1994
- 山梨スーパーレジン(株)を吸収合併し、新資本金は3,400万円となる。オートクレーブ3号機設置
製品:地雷探知機カバー、ヘリコプター用カメラカバー、ホープ風洞実験模型、マスト軸、人工大理石
- 1997
- 盛岡スーパーレジン(株)を100%子会社とする。SAMPE Japan初出展
製品:無人ヘリの量産、風車ブレード、シールドカバー
- 1998
- 千葉スーパーレジン(株)を100%子会社とする。宮崎スーパーレジン(株)を100%子会社とする
製品:自動車バンパーの量産、防弾板、ロボット部品、スピンコータ、サッカーフェンス
- 2002
- 坂浜本社工場がJIS Q 9001:2000の認証を取得
製品:テーマパーク向け用品ワゴン、アイスクリームワゴン
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04 地球から宇宙へ
2002年、当社は神奈川県津久井町に、敷地約6,000坪の新工場用地を取得した。「これからがカーボンの時代だ」というビジョンのもとに計画された津久井工場は、CFRP製品の生産に対応する「技術力」「技能」「設備」の3拍子を揃い、業界でも屈指の施設と言えるだろう。津久井工場が志向するのは、航空・宇宙、IT、液晶などの分野の高精度CFRP製品の製造であった。
航空機の分野では金属からCFRPへと材料革新が急速に進行している。当社は航空機メーカー各社の要望に応え、CFRPによる翼や胴体部品の製造体制を強化し、国内外の航空機製造の最先端をゆくニーズにはほとんど全て対応できる生産体制を保有した事になる。
宇宙開発分野においては、人工衛星用太陽電池のサブストレート、アンテナの生産を開始した。多くの航空機・人工衛星の実績を重ねることで高精度・高品質の技術、製品が評価され、小惑星探査機「はやぶさ」の製作に携わることになり、2010年、当社の技術を結集したはやぶさは地球帰還に成功した。はやぶさプロジェクトへの参画を皮切りに、観測衛星をはじめ、数多くの人工衛星プロジェクトに携わってきた。年表を見る
- 2003
- 神奈川県津久井郡にて津久井工場の操業を開始
製品:大型CFRP製半導体生産設備、球形スクリーン
- 2004
- 津久井工場がJIS Q 9001:2000の認証を取得(拡張)
製品:φ12m、φ18mレドーム、プリンセスクルーズFRP部品
- 2005
- 盛岡・宮崎・千葉の子会社3社を分離・独立
製品:液晶露光装置用CFRP製ミラー
- 2006
- 坂浜本社工場並びに津久井工場がJIS Q 9100:2004の認証を取得
製品:クライスタット、液晶製造装置CFRP部品、落下試験装置
- 2007
- 創業50周年、50周年史発行
製品:液晶露光装置用CFRP製定盤、大型航空機用各種 FRP部品
- 2008
- 株式会社I.S.Tグループの100%子会社となる
製品:人工衛星用太陽電池パネルサブストレート、人工衛星 ASTRO-H(ひとみ)
- 2010
- 樹脂開発及びプロセス開発を行う研究開発部を設置
製品:大型防衛機送受信機生産開始
- 2011
- 中国浙江省に子会社「寧波麗成複合材料制品有限公司」を設立
製品:携帯電話CFRPカバー量産(HTC技術製品市場投入)、人工衛星バス構体
- 2013
- 寧波麗成複合材料制品有限公司に第2工場を竣工
製品:ノートパソコンカバー
- 2016
- 津久井工場第2工場を機械加工専用工場化、津久井工場第3工場を組立専用工場化
製品:有機EL製造装置用CFRP部品、大型水素タンク用FRP部材開発
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05 未来への飛翔
当社はFRP・CFRP成形のパイオニアとして、航空機や宇宙開発、医療、産業機器などの最先端で、60年以上の実績を積み重ねてきた。
独自の研究開発力と、唯一無二の技術力で、コンポジットに新しい機能と価値を与え、製品を生まれ変わらせてきた。
地球から宇宙まで、試作から量産まで、研究開発からシステムインテグレーションまで、匠の技に裏打ちされた問題解決力と提案力で、コンポジットに新しい機能と価値を――それが、我々の使命である。年表を見る
- 2017
- 坂浜本社工場にて塗装専用ルーム(34㎡)新設。創業60周年
製品:CFRP製止水板、人工衛星回収カプセル用レドーム、革新実証衛星搭載軽量太陽電池パドル
- 2018
- 衛星搭載機器の研究開発・組立・試験用クリーンルームを新設
製品:レドーム設計開発、人工衛星用太陽電池パネルサブストレート
- 2019
- スーパーレジン工業株式会社の全株式をJPH株式会社に譲渡
製品:CFRP製ドローン、人工衛星GOSAT(いぶき)の光学システム原理検証モデル