CFRPの成形

加圧・加熱という成形プロセスにおいて、強化繊維のずれ、マトリックス樹脂の逃げなどが発生しやすいです。そういった成形体における不均一を発生させないことが基本です。その基本に外れた場合、成形体は型から外しただけで変形し、機械加工によりさらにひずむことになります。

CFRPの成形方法比較

成形方法 CF(炭素繊維)
使用材料
対象部材 特徴 力学特性 量産性
射出 射出 ・コンパウンドペレット
・長繊維ペレット
※不連続繊維を使用
内装、外装など ・複雑形状
・大量生産
・小型部品
×
プレス プレス ・各種シート材
SMC、BMC、GMT
・プリプレグ
※不連続繊維を使用
内装、外装、構造部材 ・平坦形状
・大量生産
・大型部品
×〜△
FW(Filament Winding) FW
(Filament Winding)
・連続繊維 プロペラ、シャフト、タンク ・筒型形状
・中〜大量生産
・高い力学特性
○〜◎
RTM(Resin Transfer Molding) RTM(Resin Transfer Molding) ・プリフォーム
(織物、他)
外装、構造部材 ・平坦形状
・中量生産
・高い力学特性
○〜◎
VaRTM(インフェージョン) VaRTM
(インフェージョン)
・プリフォーム
(織物、他)
内装、外装、構造部材 ・平坦形状
・中〜大量生産
・中〜大型部品
△〜○
オーブン オーブン ・プリプレグ 外装、構造部材 ・平坦形状
・少量生産
・設備投資小
○〜◎ ×〜△
オートクレーブ オートクレーブ ・プリプレグ 外装、構造部材 ・平坦形状
・少量生産
・高い力学特性
×〜△

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CFRPの成形型

高精度で高品質はCFRP成形品を実現するためには、成形型の設計、制作がとても重要な要素となります。
CFRPの成形型は石膏製や樹脂製、金属製、CFRP製など様々あります。
機能性を持たせるCFRPの製品に関しては、数量にもよりますが型からCFRPのプリプレグを使用します。簡易型(ウレタンフォーム材や樹脂ブロック材)と比較すると高価にはなりますが、再利用不可能な簡易型と比べ複数個の生産に対応可能で、機能性部品を成形する材料と同じ素材で型を作る事で熱膨張も同等となり軽量で寸法安定性もあると言うメリットがあります。
ある程度の数量を生産する場合はCFRP型が良く使用されます。

CFRPの機械加工

  • 炭素繊維、特にPAN系高強度グレードは高強度のため、刃具は超硬、ダイヤモンドコーティングが基本です。
  • CFRPは切削剤や水分を取り込み易いのでドライ加工が基本です。汎用エポキシ樹脂は特に吸湿するので加工精度確保の意味があります。
  • CFRPに浸み込んだ油分を除去することもできません。炭素繊維の種類と配向により異なる切削加工仕上がり面となります。

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CFRPの接合・組立

  • 子部品の加工精度で組立品質が左右されます。
  • エポキシ系接着材は高強度で成形体の層間強度以上にあります。
  • フィレット形成により応力集中回避でき、強度確保に有効です。
  • 接着面の処理(サンディング+脱脂)と、接着面積の確保、適正な接着材の選定が有効です。
  • 接着部ザグリ加工は位置決めと接着面積増のため有効です。
  • 接着材の硬化収縮による反り・残有応力を考慮した構造やプロセスとする必要があります。
  • 機械的接合(ボルトアップ)との併用は有効です。