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AFPAutomated Fiber Placement | 自動積層法の一種。熱硬化性または熱可塑性樹脂複合材料細幅テープの自動積層製造法。多軸ロボットにレイアップマシンを装着し、複雑な形状の成形型への連続的な積層を可能とした。熱可塑性の場合は、積層と同時に直接加熱による成形も完了。航空機や風車ブレードなどの大型部品の一体成形に採用されている。 |
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AFRPAramid Fiber Reinforced ThermoPlastics | アラミド繊維強化プラスチック。アラミド繊維の軽量・高度の特性を生かして、航空・宇宙、産業機器、スポーツ用品などに採用。アラミド繊維の特性(高強度、低弾性率)から難機械加工性という課題もある。 |
AFWAreal Fiber Weight | プリプレグの強化繊維目付。単位:g/㎡ |
ATLAutomated Tape Laying | 熱硬化性または熱可塑性樹脂複合材料広幅テープ(25mm以上)の自動積層製造法。緩やかな曲面または平面的な大型部品の一体成形に向いている。 |
BMCBulk Molding Compound | 不飽和ポリエステル樹脂を母材として、射出、トランスファー、コンプレッションなどの成形機にて使用する短繊維(チョップド)などの強化材を混合した塊(Bulk)素材をいう。高価な炭素繊維の用途としては機械的物性向上のメリット無く、ガラス繊維利用が主。 |
BMIBismaleimide | ビスマレイミド。高耐熱の熱硬化樹脂。180℃成形温度で200℃x4HrアフターキュアにてTgガラス転移点は250℃(TMA)まで上げられる。 |
BステージB stage | エポキシ樹脂などを母材としたプリプレグにおいて、硬化剤となる触媒の働く温度未満で強化繊維と一体化させた樹脂が半硬化の状態をいう。プリプレグは、硬化剤の働きを抑えるため、-21℃程度の冷凍保管が望ましい。プリプレグメーカーの提示する消費期限を過ぎても、Bステージ品質を確認(ILSS試験などで)すれば問題なく成形できる。 |
C/CコンポジットC/C Composite | マトリックスがC(炭素)で、強化繊維がCF(カーボンファイバー:炭素繊維)の成形体。強化繊維は織物あるいはチョップドで、最終処理温度によって異なるが、2000℃以上の耐熱性がある。軽量、高強度・高弾性、寸法安定性などの特長も生かして、航空(ディスクブレーキ)・宇宙(ロケット)、自動車(ディスクブレーキ)などの産業機器の耐熱素材として採用。 |
CAICompression After Impact | 成形体への衝撃を与え、内部に損傷を作った後に圧縮強度・弾性率を測る試験。航空機用途では重要な試験の一つ。 |
CFRPCarbon Fiber Reinforced Plastic | Carbon Fiber Reinforced Plastic(炭素繊維強化プラスチック)の略で、強化材としての炭素繊維(CF)とプラスチックを複合してできる素材。 |
CFRPhoneCFRPhone | CFRPの音板を使用しているマリンバ状打楽器。超低弾性率から超高弾性率の炭素繊維のCFRP板を使うことで、同じ寸法形状で異なる音階(固有振動数)を作れる。アルミ音板のヴィブラフォンと木製音板のマリンバの中間の音質を奏でる。 |
CFRTPCarbon Fiber Reinforced ThermoPlastic | 炭素繊維強化熱可塑性プラスチック。”CFRP”の一種である。熱可塑性樹脂の特長を生かせる用途への開発展開が進められている。熱硬化性樹脂と比べ、短い成形プロセス、熱接合性とリサイクル性などから車、家電などの業界が興味を持っている。 |
CMECoefficient of Moisture Expansion | 吸湿膨張係数。単位:%。耐熱エポキシ樹脂(180℃硬化)のCMEは130℃硬化タイプより大幅に低い。 |
CTECoefficient of Thermal Expansion | 線膨張係数。単位:10-6/K。高性能炭素繊維はすべて負の値(加温で収縮。極低弾性炭素繊維は例外)。特にピッチ系高弾性率グレードはマイナスの値が大きい(-1.5x10-6/K)。母材と繊維の種類、配向と含有率を選択すればゼロ熱膨張CFRP成形品も可能(ただし、面内方向)。 |
FAWFiber Areal Weight | 繊維目付。単位:ℊ/㎡織物の目付をいう。 |
FW成形Filament Winding Molding | フィラメント・ワインディング成形。型(マンドレル)に樹脂を含侵させた糸束(ロービング)を連続的に巻き付け、所定の圧力・温度で硬化させる。繊維の種類・巻き付け方により必要な強度・弾性率の成形体を得られる。圧力容器、ロールなど高い機械的物性を要求する大型製品に向いている。 |
G1cInterlaminar fracture toughness properties | 層間破壊靭性値。亀裂などの部分的欠陥がある繊維強化熱硬化性プラスチック(FRP)の壊れ難さの度合い。破壊エネルギーの大きさの指標となる。 |
GFRPGlass Fiber Reinforced Plastics | ガラス繊維強化プラスチック。汎用ハンドレイアップ成形では不飽和ポリエステル樹脂マトリックスが一般的。近年電子部品にはエポキシ樹脂マトリックス品が難燃性・低導電率要素で採用されている。 |
ILSSInterLaminar Shear Strength | 層間せん断強度。プリプレグの積層によって得られる繊維強化プラスチックの機械的物性の中でも重要なもので、繊維の種類・表面処理とマトリックス(母材)に依存する。試験法例:JIS K 7078 |
MMCMetal Matrix Composite | 繊維強化金属。アルミ、チタン、マグネシウムのような低密度金属をマトリックスにして強化繊維を複合化している。 |
NDTNon-Destruction Test | 非破壊検査(NDI:Non-Destruction Inspectionともいう)。複合材料は異種材料の組み合わせで、内部の欠陥の有無を表面状態のみで判定することは難しいので、非破壊検査は品質作りに重要。超音波、サーモグラフィ、アコースティックエミッション、放射線など |
OoAOut of Autoclave | 脱オートクレーブ成形法。近年、熱硬化性樹脂のCFRP成形品のサイズ大型化、生産性向上、コスト低減(オートクレーブ設備費、電気・充填ガス等運転費用)を目的として、オートクレーブを使わない成形法の開発・商業化が進んでいる。OoAのプロセス例としては、ホットプレス(PCM/速硬化プリプレグ)、RTM、VaRTMなど。 |
PAN系炭素繊維PAN based carbon fiber | 炭素繊維の中心的存在で、日本メーカー(東レ、帝人、三菱ケミカル)が世界の50%以上のシェアを持っている。1950年代に大阪工業試験所の進藤昭男博士が発明し、1970年代に東レ他の日本メーカーで工業化が急速に進んだ。PAN系炭素繊維は、弾性率、強度、フィラメント数など異なる多くのグレードがある。 |
PEEKPolyetheretherketone | ポリエーテルエーテルケトン。スーパーエンジニアリングプラスチック。耐熱、耐衝撃、耐薬品に優れ、高価だが、安全性要求の高い分野で採用されている。 |
PEKKPolyetherketoneketone | ポリエーテルケトンケトン。スーパーエンジニアリングプラスチックの中でも高いTg(165℃)、融点(358℃)。機械的物性(強度、弾性率)、耐薬品、難燃性、加工性に優れ、高価だが、複合材への適用が進んでいる。 |
PFAPerfluoro alkoxy alkane | 4フッ化エチレン樹脂(熱可塑性)。耐熱性、耐薬品性、自己潤滑性に優れ(PTFEと同等)、溶接、成形も可能。 |
PPSPoly Phenylene Sulfide | スーパーエンジニアリングプラスチック。Tg(90℃)、融点(280℃)。高機械的物性(強度、弾性率)、耐熱、耐薬品、寸法安定性、難燃性という特長があるが、耐衝撃性は低く、強化繊維複合材として用途展開中。 |
PTFEPolytetrafluoroethylene | フッ化炭素樹脂。商品名:テフロン。耐熱性、耐薬品性、非粘着性、自己潤滑性に優れるが、熱で溶融せず、難成形加工が欠点。 |
PT成形Pultrusion molding | 引抜成形(Pultrusiion molding、PT成形とも言われる)。連続繊維に不飽和ポリエステル、ビニールエステル、エポキシなどの熱硬化性樹脂を含侵し、加熱型で硬化、プラーにて継続的に引き抜く。熱可塑性樹脂マトリッスの成形も開発も進んでいる。 |
RcResin Content | 樹脂含有率。単位:Wt%。繊維強化プラスチックの場合、その種類、用途によって適した比率がある。 |
RTMResin Transfer Molding | 強化繊維プリフォームを型に積層し、樹脂を注入して硬化したのち型から成形品を取り出す成形法。熱硬化樹脂と熱可塑樹脂の両方共に採用されており、プリプレグを使う成形法に替わる量産成形法として開発が進んでいる。 |
SMCSheet Molding Compound | 従来からある成形法で、ガラス短繊維に熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステルなど)を含侵させ、シート状に仮成形し、プレスで硬化させる。CFRP、CFRTPにおいても、OoA成形法の一つして、品質・性能向上を目指して開発が進んでいる。 |
SW成形Sheet Winding molding | シート・ワインディング成形。芯金にプリプレグシートを巻き付けて、主に円筒形状の繊維強化プラスチック成形品を得る。釣り竿、ゴルフシャフトなど小径品はローリングテーブル、工業用ロール、プロペラシャフトなどのより太径品は3本ロールで成形される。 |
TcThermal conductivity | 熱伝導率。単位:w/m・K。PAN系は高強度グレードで8w/m・K程度と低いが、ピッチ系超高弾性率グレードの中には銅の2倍もの高いTc(800w/m・K)のものがある。 |
TgGlass transition temperature | ガラス転移温度。単位:℃ 樹脂がガラス状態からゴム状態に変化する温度で、耐熱性の尺度。成形体の使用可能温度限界とほぼ同じ。 |
TmMelting Temperature | 融点。樹脂中の結晶が溶け出す温度。 |
VaRTMVacuum assisted Resin Transfer Molding | 真空樹脂含侵成形法。RTM成形法の一種で、成形型(下型のみ)にノンクリンプ織物などのプリフォームをセットし、真空バッグにて真空引きしながら樹脂注入し、OoA硬化(オーブン、型直接加熱など)させる。大型成形品に採用されている(例:風車ブレード)が、Vfや、成形板厚のコントロールは難しく、プリプレグ成形法と比べると低コストではあるが、力学的特性や形状成形性は劣る。 |
VfVolume of fiber | 繊維含有率。単位:vol%。 |
アコースティック・エミッション検査Acoustic Emission Test | 非破壊検査の一種。成形体の破壊によって生じる振動や音波を計測して破壊の発生や進展を測る検査法。 |
アスペクト比Aspect ratio | 短繊維強化材料において、繊維の長さを直径で割った値。PAN系高強度グレード(7μ)のチョップドが7mm長さでもアスペクト比は1000となり、それなりの機械的特性は得られる。(Vfと配向によるが) |