ミラー対称積層が基本

硬化後の室温までの冷却時に熱歪み(反り)を生じさせないために、ミラー対象積層が基本となります。
炭素繊維(CF)はマイナスの線膨張率(-0.3~-1.5ppm)であり、樹脂はプラスの線膨脹係数(エポキシ樹脂は+30ppm以上)です。

加工による
歪み発生を考慮

機械加工により、断面の寸法が変化したり、高剛性の繊維が切断されたり、内部応力の不均一化が発生し、ひずみ(反り)が生じます。
機械加工による歪み発生を考慮した構造・積層設計が必要です。

剛性設計時には
断面二次モーメントを
考慮

断面二次モーメントを考慮し、異方性を生かしたコストパフォーマンスと最適化を実現します。
例えば、高強度、中弾性、高弾性、超高弾性グレードの炭素繊維を複合使用することがあります。
また、曲げ剛性アップには、外側に高弾性率炭素繊維を採用することもあります。

CFRPの積層設計実例

機械的と物理的物性や、異方性、繊維強化素材の特性などを総合的に考慮したCFRPの板と角パイプの積層設計における計算例を紹介します。

1. CFRP板の計算例

板(t10mm) 0°弾性率 CF仕様 製作コスト比
Et
高強度CFのみ(高弾性無) 105GPa 1.0 230GPa層のみ 1.00
高弾性少割合ハイブリッド 170GPa 1.6 630GPa層17% 1.15
高弾性中割合ハイブリッド 200GPa 1.9 630GPa層29% 1.25
高弾性多割合ハイブリッド 230GPa 2.2 630GPa層86% 1.45
CFRPの積層設計実例イメージ図

2. CFRP角パイプの計算例

角パイプ
W80×H25×t3mm
0°弾性率 CF仕様 製作コスト比
Et
高強度CFのみ(高弾性無) 105GPa 1.0 230GPa層のみ 1.00
高弾性少割合ハイブリッド 180GPa 1.7 630GPa層40% 1.25
高弾性多割合ハイブリッド 230GPa 2.2 630GPa層80% 1.50
CFRP角パイプの計算例イメージ図