- 開発秘話
ドローン筐体 CFRP製モノコック構造開発秘話(四)
初品完成
60年を超えるメーカーで、過去から困難な案件に前向きに取り組み実績を残してきました。先人達からのクラフトマンシップを受け継ぎ、今回も初品完成まで辿り着く事ができました。
概ね製品としての完成度は高いと思っているが、あくまでも作り手側の主観であり、最終判断するのはクライアントです。ある程度の自信と大きな不安を抱えてドローン筐体の初品納入の日を迎えました。完成品を見てもらうのは初めてだった為、納品に向かう道中はクライアントに見てもらった時の印象や評価がとても気になって落ち着かない心境でした。
最初に製品を手にしたお客様の第一印象は「軽い!」。 軽量化が一番のポイントでもあった事から、その評価にはとにかく安心しました。更にはCFRP特有の剛性が高い事を感じとってもらい、ドローン機体としての完成度は良好でした。
一般の工業製品とは全く異なる製品でもあり、長い時間この案件に携わり、製品を見てきたMはその評価に達成感を感じました。これは車両関連に携わっていた頃に初品納入した際の達成感と同じ感覚だったそうです。その達成感を感じつつ、やはり「車両関連の手法を活用する」と判断した事に間違いが無かったと、帰宅後にビールを飲みながら感慨深い気持ちになり、ついつい飲み過ぎてしまったそうです。プロジェクトを任されてから、初めて気を抜いた時間でした。
新たなステージへのチャレンジ
無事に初品納入を終えたMはホッと一息吐く間も無く、量産対応の日々に追われました。
新たなドローン事業への取り組み、本体からプロペラが取り付くアームまでのモノコック筐体構造、成形・接着に高い技能が問われる等の困難を乗り越えてきましたが、初品納入の評価で見えた新たな課題をクリアしつつ、次の製品納入(量産)に向けて走り出していました。
Mの性格上、課題が見えたら改善しなければ気が済まないです。他の設計者や作り手側が「そこまで必要なのか?」との疑問に対して、クライアントの身になって思考しつつ、自身の「拘り」は譲れません。その拘りつつ拘り過ぎて、柔軟な発想を消さず顧客優先の思考こそが、唯一無二のモノコック構造開発のキーポイントだったのではないでしょうか。
常に新たな取り組みや新たな製法を模索し続けるプロジェクトリーダーの背中は、太陽の塔の顔部分を困難の中で製造し完成させた先人達のクラフトマンシップと、現代の技術を融合させたスーパーレジンの「ものづくり」の姿です。