• 開発秘話

ドローン筐体 CFRP製モノコック構造開発秘話(二)

Mの苦悩

プロジェクトリーダーMは悩んでいました。CFRPの世界では長年の経験を持っていても、ドローンの機体からプロペラまでのモノコック構造を成り立たせるには容易ではありませんでした。

当社で成形するCFRP製品の原材料は、プリプレグという炭素繊維に樹脂を予備含浸させた生地のようなものです。炭素繊維の方向性や、繊維をいかに切らずに連続性を持たせる事が強度や剛性に大きく影響します。単に形状を作る事にはさほど問題は無いですが、その繊維の繋がりや、製品となった際の「カーボン繊維の見え方」にも拘る必要がありました。塗装してしまうような製品であれば多少繊維が乱れても問題にはなりませんが、今回の製品は塗装をしない事から、炭素繊維の状態が製品外観を決めるのです。

その点は車両関連で培った経験でクリアする事ができますが、モノコック構造と言う点で型の構造からドローン筐体を完成させるまでの分割位置、接着の方法等、ものづくりを始める前の構想で日々苦悩していたそうです。

苦悩の中から見えた光

モノコック構造を成り立たせる為に苦悩していたMですが、あるきっかけで乗り越える事ができました――型の分割方法とプロペラまでのアーム部の接合方法を思いつきました。そのきっかけはこれまで経験した車両関連部品での製造方法でした。

ある日、過去に自分が手掛けた車が目に入りました。その車を眺めながら懐かしさに浸っていた時に、「今の自分が有るのは、過去に手掛けた車両関連の技術が根底にあるからだ!」と、過去に経験した車両関連の業務を思い出し、進め方や考え方、製法も含めての方向性が見えた瞬間でした。

正にそれは真っ暗なトンネルの先に見える僅かな光はで、今の自分が目指すべき先を照らす光であり、そこに気づいたMはその瞬間に初心に返る事が出来たのです。

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