• 開発秘話

ドローン筐体 CFRP製モノコック構造開発秘話(一)

新たな分野へのチャレンジ

新たな事業開拓として、ドローン業界への参入が社内の事業計画会議で決定されました。営業部隊は早速マーケティングリサーチを開始し、業界の動向や将来性、ドローンに求められる性能や課題など調べ上げました。

ドローン筐体はプラスチックで製造されていましたが、近年は炭素繊維強化プラスチック(以下「CFRP」)の使用が一般的になってきました。飛行性能の向上や可搬重量の増加の為に、軽量と高剛性が重要なファクターとなってきています。そのような開発要素は当社の持つ技術に最も適している事です。

時間を掛けてマーケティングリサーチを進める中で、タイミング良くクライアントから話をいただき、筐体の試作・製造の依頼まで辿り着きました。一般的なCFRP平板とパイプをアッセンブリーする筐体ではなく、組立作業が簡素化され、軽量かつ高剛性な筐体が求められました。ついに、その開発がスタートし、新たな分野へのチャレンジの第一歩を踏み出しました。

立ちはだかる壁

クライアントからの要求事項に対して、早々に高い壁にぶち当たる事になりました。

クライアントからの要求事項には、これまでのCFRP製ドローンには無い、複合材で実現することが非常に難しい複雑な構造が求められました――「機体からプロペラを取り付ける部分までの一体化CFRPモノコック構造」で、更には「最軽量」で製造する必要がありました。

研究開発部の技術メンバーにとっては新たなチャレンジです。そこで設計開発から製造プロセス、品質管理までを一貫してマネージするプロジェクトリーダーが必要となり、そこに抜擢されたのが生産技術部のMでした。

MはCFRPの製造業界で13年の経験者であり、車両関連部品の製造に長く携わっていました。「地上で走る車」関連の経験が認められていますが、今回は「空を飛ぶドローン」の開発です。使用される環境が大きく異なる世界で、立ちはだかる壁に立ち向かう事になりました。

これまでの一般的なCFRP平板とパイプで組み立てたドローン筐体よりも軽く、今までに無い筐体のデザインが難しい課題でした。更に、ドローンの運用上での作業性や、筐体の防水性など、クライアントとの調整からモデル試作の現品評価まで、初期検討には多数の課題を並行して進めなければなりませんでした。

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